AI時代のプロダクト開発を再設計する「Full Stack Builder」——LinkedIn流の3本柱

生成AIでPM業務はどう変わる?LinkedInのFull Stack Builderモデルを例に、Platform/Agents/Cultureの3本柱と、人が担う5つの中核能力、導入の進め方を解析します。

キーワード:生成AI, プロダクト開発, プロダクトマネジメント, Full Stack Builder, AIエージェント, 組織設計, 速度と品質, 変化対応, Platform, Culture, 評価と改善ループ

目次

AIで仕事が変わるのに、組織の反応速度が追いつかない

LinkedInのCPO Tomer Cohenは、AIによって「作る力」が増幅される一方で、企業側のプロセスや役割設計が古いままだと、変化のスピードに組織が追随できないと指摘します。だから必要なのは、単なるツール導入ではなく、プロダクト開発の作法そのものの再設計です。

「プロダクト開発が複雑」なのではなく「プロセスが複雑」

開発の本質はシンプルです。「課題を調べ、解決策を設計し、作って、出して、学習する」。
ところが現実は、分業・レビュー・承認・引き継ぎが増え、スピードも学習も鈍化していきます。

Full Stack Builderとは何か:分業の境界を「AIで溶かす」

Full Stack Builder(FSB)は「一人で全部やる」ではありません。
人+AIの協働で、アイデアから実装・検証・リリースまでの距離を縮め、「作って届ける」を最短で回すためのモデルです。

象徴的なのが、LinkedInが従来のAPM(Associate Product Manager)ではなく、Associate Product Builder(APB)という育成プログラムを打ち出した点。設計・コーディング・PMスキルを統合して学ぶ発想です。

人が担うべき「5つの中核」と、AIで自動化すべき領域

Cohenが強調するのは、「人がやるべき核」と「自動化すべき周辺」を切り分けること。
人が担う核は次の5つです。
  • Vision(未来の見立て)
  • Empathy(顧客・現場理解)
  • Communication(巻き込み・整合)
  • Creativity(新しい解の発想)
  • Judgment(曖昧さの中での判断)
それ以外——調査の下準備、仕様の整形、分析、テスト観点の列挙、文書化、反復作業——は、可能な限りAIで自動化し、人間の集中先を「核」に戻す。

成功の3本柱:Platform / Agents / Culture

LinkedInがFSBを成立させる要件は、次の3つに整理されています。
  1. Platform:AIが扱いやすい土台を作る
    • エンタープライズのコードやデータは複雑で、汎用ツールだけでは噛み合わない。だからこそ、AIが推論・生成しやすい構造(再利用可能なUI部品、標準化、権限、ログ、評価)を先に整える。
  2. Agents:業務に「批評能力」を持ち込む
    • 単なるQ&Aではなく、アイデアを批評し、脆弱性や抜けを指摘するエージェント
  3. Culture:最大の難所は「運用と評価」
    • 導入が広がるかどうかは、ツールではなく文化・評価・成功事例で決まる。勝ち筋を作って見せ、評価制度に組み込み、反復して浸透させる。

導入ステップ:小さく始めて回し切るチェックリスト

最初から全社導入ではなく、次の順で「小さく勝つ」のが現実的です。
  • 高頻度・反復・判断コストが高い業務を1つ選ぶ
  • ①Platform(最低限のデータ・権限・ログ)→②Agents(特化エージェント)→③Culture(評価・共有)を短い周期で回す
  • 成功例をテンプレ化し、横展開できる状態にする

よくある質問(FAQ)

PMが不要になるという話ですか?

役割が消えるというより、境界が薄くなり、AIと一緒に「作って届ける」能力が統合されていく、という話です。

何から着手すべき?

「データ・権限・評価」を最小セットで揃え、1ユースケースで改善ループを回すことが近道です。

汎用AIツールではダメ?

企業のデータやコードは固有性が高く、業務に合わせた設計(Platform/Agents)が成果の差になります。

結び——私たちは「ビルダーを増やす仕組み」を設計する

AI時代の競争軸は、モデルの強さだけではなく、「作って学ぶ」の反復速度です。
Full Stack Builderは、その反復速度を取り戻すための組織設計であり、Platform/Agents/Cultureを揃えることで初めて現実になります。
お問い合わせ
AI時代のプロダクト開発体制(FSB型)への移行、業務特化エージェント設計、評価ループの構築に関心があればご相談ください。

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